産休・育休でもらえるお金は、勤務先の制度だけでなく、健康保険、雇用保険、年金・社会保険のどれに入っているかで変わります。最初に「休む前」「出生直後」「育休中」「復職後」「保険料免除」を分けて見ると、会社やハローワークに確認する順番を整理しやすくなります。
この記事では、公式確認日を2026年5月21日として、出産手当金、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金、産休・育休中の社会保険料免除を比較します。制度の対象、上限額、勤務先の手続きは変わる可能性があるため、最終確認は勤務先、加入している保険者、ハローワーク、公式ページで行ってください。
まず比較する6つの制度
産休・育休のお金は「誰が、いつ休むか」で使う制度が変わります。妊娠・出産で本人が会社を休む期間は出産手当金、出生直後に父親などが休む期間は出生時育児休業給付金、育休を長めに取る期間は育児休業給付金、夫婦で出生直後に休む場合は出生後休業支援給付金、復職後に時短勤務をする場合は育児時短就業給付金、そして出ていくお金を抑える制度として社会保険料免除を確認します。
| 対象 | 詳細を見る | 確認すべき条件 | 申請先 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 出産手当金 | 勤務先の健康保険の被保険者か、産前産後に給与が出るか、退職予定があるか | 加入している健康保険の保険者。協会けんぽの場合は各支部 | 出産のために産前産後休業を取る会社員 | |
| 出生時育児休業給付金 | 雇用保険の被保険者か、出生後8週間以内の産後パパ育休にあたるか、賃金支払いがあるか | 事業所所在地を管轄するハローワーク。通常は勤務先経由 | 出生直後に短期で休みたい父親など | |
| 育児休業給付金 | 雇用保険の加入状況、育休開始前の賃金、育休中の就業・賃金、保育所事情による延長 | 事業所所在地を管轄するハローワーク。通常は勤務先経由 | 子が1歳になる前後まで育休を取りたい人 | |
| 出生後休業支援給付金 | 原則として両親が出生直後の一定期間に14日以上育休を取るか、配偶者要件の例外にあたるか | ハローワーク。育児休業等給付とあわせて確認 | 夫婦で出生直後の育休を取り、給付率を上げたい家庭 | |
| 育児時短就業給付金 | 2歳未満の子を養育して時短勤務をするか、賃金がどの程度下がるか、雇用保険の要件を満たすか | 事業所所在地を管轄するハローワーク。通常は勤務先経由 | 育休から復職し、しばらく時短勤務を選びたい人 | |
| 産休・育休中の社会保険料免除 | 国民年金か厚生年金か、産前産後休業・育児休業等の届出が必要か、住民税は別扱いか | 勤務先、年金事務所、市区町村など加入制度により異なる | 手取り感と毎月の支出をあわせて確認したい人 |
出産手当金は産前産後に働けない期間の支え
出産手当金は、出産のため会社を休み、その間に給与を受けられない場合などに、健康保険から支給される可能性がある制度です。対象期間は、原則として出産日以前42日、多胎妊娠では98日から、出産の翌日以後56日目までの範囲です。全国健康保険協会の 出産手当金の案内 では、出産予定日より遅れた場合の扱いや、給与が一部支払われた場合の考え方も示されています。
支給額は、おおまかには標準報酬月額をもとにした1日あたりの額の3分の2相当で考えます。ただし、支給開始前の加入期間が短い場合、給与が支払われる場合、傷病手当金との関係、退職予定がある場合は見方が変わります。国民健康保険に加入している人、扶養に入っている人、退職日をまたぐ人は、同じ「産休」でも対象が異なることがあるため、早めに保険証の発行元や勤務先に確認しておくと安心です。
育休の給付は雇用保険が中心
育児休業中の給付は、主に雇用保険の制度として確認します。厚生労働省の 育児休業制度の案内 では、育児休業は原則として1歳未満の子を養育するために一定期間会社を休める制度と説明されています。保育所に入れないなどの事情がある場合は延長できる可能性もありますが、申出期限や証明書類が関わります。
育児休業給付金は、一定の要件を満たす雇用保険の被保険者に対し、育休開始時賃金日額をもとに支給されます。目安として、育休開始から180日目までは67%相当、181日目以降は50%相当とされています。金額には上限があり、育休中に働いた日数や賃金がある場合は調整されることがあります。支給日は個別の審査や勤務先の提出時期に左右されるため、「いつ入るか」を正確に知りたいときは勤務先の申請状況とハローワークの案内を確認してください。
出生直後に休むなら出生時育児休業給付金
出生時育児休業給付金は、産後パパ育休と呼ばれる出生時育児休業に対応する給付です。雇用保険の被保険者が、子の出生後8週間以内に合計4週間、つまり28日を限度として休む場合に、一定の要件を満たすと対象になる可能性があります。短期間でも出生直後の家事・育児を厚くしたい家庭に向きやすい制度です。
支給額は、育児休業給付金と同じく休業開始時賃金日額をもとに67%相当で考えます。出生時育児休業は分割取得、勤務先への申出時期、休業中の就業可否など、通常の育児休業とは確認点が少し違います。制度の名前だけで判断せず、勤務先に「産後パパ育休として扱われるか」「雇用保険の申請はいつ行うか」「会社独自の有給休暇と併用する場合の賃金はどうなるか」を確認しておくと、給付額の見込みを立てやすくなります。
出生後休業支援給付金は13%上乗せの確認が大事
出生後休業支援給付金は、出生直後の一定期間に、原則として両親がともに14日以上の育児休業を取得する場合などに、最大28日間、休業開始時賃金日額の13%相当を上乗せする制度です。厚生労働省の 育児休業等給付について では、育児休業給付とあわせると給付率が80%相当になる仕組みが案内されています。
ここで注意したいのは、「夫婦で育休を取れば自動的に対象」とは言い切れない点です。男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内など、確認すべき期間があります。配偶者が育休を取れない場合の例外もありますが、添付書類が必要になることがあります。手取り10割相当という表現も、社会保険料免除や非課税の扱いをふまえた説明であり、賃金日額の上限や個別条件によって受け取る金額は変わります。夫婦で取得日数を合わせる家庭は、出産予定日の前に勤務先どうしで申請スケジュールをそろえておくとよいでしょう。
復職後の時短勤務は育児時短就業給付金を確認
育休から戻ったあと、2歳未満の子を養育するために時短勤務を選ぶ場合は、育児時短就業給付金を確認します。これは、時短勤務により賃金が下がる人を支える制度で、原則として支給対象月に支払われた賃金額の10%を目安にします。ただし、時短後の賃金が育児時短就業開始時の賃金に近い場合は支給率が調整され、上限額もあります。
この制度は「育休を取るかどうか」だけでなく、復職後の働き方を決めるときに効いてきます。保育園の慣らし保育、通勤時間、残業の有無、配偶者の勤務時間によって、短時間勤務の価値は変わります。会社の短時間勤務制度、給与計算、賞与や評価への影響、雇用保険の申請時期を、人事や総務にまとめて聞くと比較しやすくなります。
社会保険料免除は「もらえる」だけでなく「減る支出」
産休・育休中のお金を考えるときは、振り込まれる給付金だけでなく、保険料免除も一緒に見ます。日本年金機構の 産前産後期間の免除制度の案内 では、産前産後期間の国民年金保険料・厚生年金保険料等は、届出により免除されると説明されています。免除された期間は、将来の年金額に反映される扱いも案内されています。
会社員の場合、産前産後休業や育児休業等の期間について、健康保険料・厚生年金保険料が免除されることがあります。免除には届出が必要で、勤務先が手続きすることが多いものの、締め日や賞与月、月末を含むかどうかで見え方が変わる場合があります。国民年金に加入している人は、市区町村や年金事務所で確認する流れになることがあります。なお、住民税は社会保険料免除とは別の税金です。前年の所得をもとに請求されるため、育休中でも納付が続く可能性を見込んでおきましょう。
自分が見る順番
最初に、母親本人が会社員として健康保険に入っているかを確認します。該当しそうなら出産手当金の申請書、産前産後休業の期間、給与の有無を見ます。次に、本人と配偶者それぞれの雇用保険加入状況を確認します。育休を取る人が雇用保険の被保険者でなければ、育児休業給付金や出生時育児休業給付金の対象外となる可能性があります。
次に、休む日付をカレンダーに置きます。出産予定日、産前休業開始日、出産日、産後56日、父親の出生後8週間、育休開始日、復職予定日を並べると、どの給付金をどの順番で見るべきかが分かりやすくなります。最後に、給付金の振込見込みだけでなく、給与が止まる月、住民税の納付、賞与月の社会保険料、保育料、復職後の時短給与を同じ表に入れると、家計の谷間を見つけやすくなります。
申請前チェックリスト
- 勤務先に、産前産後休業、育児休業、出生時育児休業、短時間勤務の申出期限を確認する。
- 健康保険証の発行元を確認し、出産手当金の申請先と必要書類を確認する。
- 雇用保険に入っているか、育休前の勤務実績が要件に合いそうかを勤務先に確認する。
- 夫婦で育休を取る場合は、14日以上の取得日数と対象期間をそれぞれの勤務先で確認する。
- 社会保険料免除、住民税、給与・賞与の扱いを、月ごとの家計表に入れておく。
- 退職予定、転職予定、契約更新の上限がある場合は、通常より早めに確認する。
FAQ
産休と育休でもらえるお金は同じ制度ですか?
同じではありません。産休中は健康保険の出産手当金を確認し、育休中は雇用保険の育児休業給付金や出生時育児休業給付金を確認します。さらに、出生直後に夫婦で育休を取る場合は出生後休業支援給付金、復職後に時短勤務をする場合は育児時短就業給付金が関係することがあります。
パートや契約社員でも対象になりますか?
対象になる可能性はありますが、制度ごとに条件が違います。育児休業そのものは有期雇用でも一定の条件を満たせば取得できる場合があります。一方で、給付金は雇用保険の加入状況や勤務実績、契約更新の見込みなどを見ます。会社の呼び方ではなく、健康保険・雇用保険・雇用契約の中身で確認しましょう。
出生後休業支援給付金だけをもらえますか?
基本的には、育児休業給付金または出生時育児休業給付金とあわせて確認する制度です。13%分だけを単独でもらうものとして考えると、申請条件を見誤る可能性があります。夫婦それぞれの取得日数、取得時期、雇用保険の対象、配偶者要件の例外を勤務先とハローワークで確認してください。
育休中は税金も保険料も全部なくなりますか?
全部なくなるとは考えないほうが安全です。育児休業等給付は非課税とされていますが、住民税は前年所得をもとに請求されるため、育休中も納付が続く場合があります。健康保険料・厚生年金保険料の免除も、休業期間や届出に左右されます。
まとめ
産休・育休でもらえるお金は、出産手当金、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金、社会保険料免除を分けて見ると整理しやすくなります。出産前は出産手当金、出生直後は産後パパ育休と出生後休業支援給付金、長めの育休は育児休業給付金、復職後は育児時短就業給付金、毎月の支出は社会保険料免除と住民税を確認しましょう。
制度名は似ていますが、申請先は健康保険の保険者、ハローワーク、勤務先、年金事務所や市区町村に分かれます。受け取れるかどうか、いつ入るか、いくらになるかは個別条件で変わるため、公式ページを見ながら勤務先に確認するのが現実的です。出産予定日が近づく前に、夫婦それぞれの休業予定と申請先を1枚にまとめておくと、育休中の家計を見通しやすくなります。